人事部きゅうぞうです。
毎年10月は恒例(?)の最低賃金の改定が行われる時期です。
今日は最低賃金改定について、私なりのざっくりとした説明と考えをまとめた記事です。
目次
最低賃金とは
法律で定められた最低限度の時間給です。各都道府県ごとに賃金が定められ、それ以上の賃金を払わないといけないわけです。
平成30年度最低賃金
前年の平成29年度は全国平均額は848円でしたが、今年平成30年度は全国平均26円アップの874円となりました。
参考:平成30年度地域別最低賃金額改定の目安について【厚生労働省】
私が高校生の時、初めてのアルバイト時給が630円だったと記憶しています。
高くなったもんですよね。
なんで最低賃金は上がるの?
どうして最低賃金は上がっていくのでしょうか?
どうやら日本の偉い人が、最低賃金が上がると景気が良くなると考えたそうです。景気が良くなるというサイクルを、最低賃金を上げることで作り出そうとしているわけです。

ちなみに、偉い方達が考える最低賃金目標は1,000円だそうです。これについては各ニュースサイトなどで多く取り上げられておりますので、ご人身で検索されてみてください。
正社員にはあんまり関係ない
この最低賃金ですが、一応全ての労働者に適応されます。
仮に1か月の給料が160,000円として、月の平均所定労働時間が160時間とすると、単純に時給1,000円と計算ができます。
160,000円÷160時間=時給1,000
要するに「正社員・契約社員・嘱託社員」でも、給料を時給換算した時に最低賃金は超えていないといけませんよ。というわけです。
(365日−1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間数÷12か月
※うるう年は366日で計算したりもします。
ちなみに、ボーナスや残業代、そのほか手当は最低賃金にはカウントされません。
しかし、ここまで低賃金で正社員として働くというのはかなりレアケースです。そんな求人票もなかなか見ませんし、誰も応募しないと思います。
そのため最低賃金が少々上がったところで、正社員にはあまり関係ないんですよね。
特に最低賃金が高いとされる東京都。平成30年に最低賃金が時給985円となるわけですが、それを月給に換算すると157,600円(月平均所定労働時間160時間想定)となります。
時給985円×160時間=157,600円
最低賃金は誰に影響するのか
最低賃金は正社員にはあまり関係がないとすると、誰に影響してくるのでしょうか。それは短時間労働者と言われる、アルバイト・パートに特に恩恵があります。

「学生」や「フリータ」の皆さんには超朗報だと思います。
だって、今回全国平均で最低時給が26円上がるわけですから、これはデカいですよ!
月に100時間働いてたアルバイト・パートの人が2,600円お給料が増える計算です。
100時間×26円=2,600円
学生や主婦の方にとって2,600円はめちゃめちゃ大きいですよね!
・・・でもよく考えてください。
このお給料の2,600円上がった分って会社はどうするんですか?
国から補助金でも貰えるのでしょうか?
会社が支払う税金が安くなるんでしょうか?
結局は利益が少なくなる会社

時給が上がる=人件費が上がるため、会社の利益は当然少なくなります。最低賃金が26円上がった事を想定すると、どれくらい利益が減るのでしょうか。
アルバイト100人×最低賃金26円増=2,600円増/1時間
※アルバイト全員が毎月100時間労働していたとすると
アルバイト100人×100時間×最低賃金26円増=260,000円コスト増
最低賃金が上がったからといって、国から補助金が出るわけでもないですし、税金が安くなるというわけではありません。
では会社の利益が少なくなったら、会社はどう対策をすれば良いのでしょうか?
外食業界を例にして考えてみたいと思います。
アルバイト・パートの人数を減らす

牛丼チェーンの「すきや」が行っていた、ワンオペが良い例だと思います。
人件費が上がった分、1人の仕事量を増やすってことですね。
ブラックバイトが増えますね・・・。
サービスの変更

下記のようなサービスの大幅変更があるでしょう。
・AI化
・セルフサービスに変更
・料理の質・量・価格の変更
アルバイトの人員を削り、社員に多く働かせる

アルバイトを削った分、社員がサービス残業で補填するという考え方もできます。
正社員の給料を減らす

アルバイ・パートの時給を上げた分、正社員の給料・ボーナスのカット。
また福利厚生等の見直しというのもあるかもしれません。
社員のリストラ

現場で上がってしまった人件費を、本社等で穴埋めするというパターン。
結局のところ消費は増えるのか?

短時間労働者(アルバイト・パート)向けともいえる「最低賃金」を少々引き上げたところで、上がってしまった人件費を穴埋めできるくらいに消費が膨らむとは思えないんですよね。
労働者全体に影響する最低賃金とはいえ、アルバイト・パートばかりに恩恵があり、これが社会全体の消費行動に繋がるとは到底思えません。最低賃金が上がっていくと、結局は商品・サービスの値段が上がってしまい、何も変わらないような気がしてなりません。
最低賃金が上がる事自体には全く反対はないのですが、正社員には全くと言っていいほど恩恵がありませんので意味が無いように思ってしまいます。
もう少し労働者全体を考えた策が必要ではないでしょうか。
まとめ
最低賃金が上がっても景気は良くならない!
・・・と私は思います。
みなさんはどう思いますか?